トランペットを吹いていて、普段は問題なく演奏できる。
でも、ミュートをつけて演奏すると「遅れて聴こえる」「音程悪い」などと指摘されることがある。
何が原因なんだろう?
私が所属する吹奏楽団でも、先日同じような場面に遭遇しました。
ミュートで演奏する箇所が本来のテンポより遅れてしまっていたんですね。
それを見ていて気づいたことがあり、演奏者の方にちょっとお伝えしてみたら、演奏が大きく改善されました。
そこで今回は、「金管楽器のミュートを上手に鳴らして演奏効果を上げる方法」をお伝えします。
なお、ここでは演奏効果を狙って楽譜に書かれているストレートミュートやカップミュートなどを対象としています。
練習時に消音目的で使うプラクティスミュートのことではありませんので、ご了承ください。
ミュートをつけると普段と吹奏感は変わる
吹いている方も感じているでしょうが、ミュートをつけると楽器の吹奏感は確実に変わります。
ベルの部分をふさいでいるので、吹いているときの抵抗感はミュートがないときと比べて増えます。
また、音が出るベルの部分にミュートがつけられており、楽器の長さも少し変わるので、音程も変わるはずです。
ミュートをつけているときは、このことを考慮に入れて、普段とは違うモードで吹く必要があります。
ミュートをつけていても上手に演奏する方法
音が聞こえない・遅れる場合
ミュートをつけたことによる抵抗感の増加に対して、奏者が対応できていない可能性があります。
普段は楽器がちゃんと振動していても、ミュートがあることにより十分に振動しなくなります。
そのため、音量が小さくなったり、鳴り始めの反応が特に悪い場合には遅く聞こえたりすることが考えられます。
このような場合は、「ミュートの先端までが楽器で、その先まで十分に振動させるように吹く」と意識してみましょう。
おそらく、同じ譜面をミュートなしで吹く場合よりもたくさんのエネルギーが必要でしょう。
「ミュートの先端に自分の唇がついていて、そこでバズィングしている感覚」と考えるのもよいと思います。
(なお、普段もベルの先端に自分の唇がついているつもりで吹くと、音がはっきりしやすいですよ。)
私の場合も、これらのことをお伝えしただけでミュートの音がかなりはっきり出るようになり、遅れも解消されました。
音程が悪くなる場合
ミュートをつけると音程が悪くなる場合もあります。
しかし、音程を合わせるためにセーブして吹くと、今度は上で書いたように聞こえにくくなったり遅れたりしてしまいます。
そのため、基本的にはミュートも含めて楽器をしっかり鳴らすように吹き、そのときの音程の癖に合わせて抜き差し管で調整するほうがよいでしょう。
練習アイデア
たとえば、ミュートをつけて演奏するフレーズを、まずはミュートなしで吹いてみます。
次に、ミュートをつけて同じように吹き、音量や音程がどれくらい変わるかを確かめます。
最後に、その変わった分を補正するように抜き差し管や息の入れ方を調整します。
このような練習により、ミュートがある場合とない場合とで音量や音程の差が小さくなるような吹き方を研究すると有用です。
おわりに
「金管楽器のミュートを上手に鳴らして演奏効果を上げる方法」を紹介しました。
ミュートをつけて吹く機会はそれほど多くないかもしれませんが、いざ吹くときには、作曲家の狙った演奏効果を十分に出せるように吹きたいですよね。
今回紹介したことを意識して、音量・音程バッチリのミュートの音を奏でてくださいね!