吹奏楽とオーケストラでのチューバの役割の違い

これまでずっと吹奏楽でチューバを吹いてきたけど、今度オーケストラで吹くことになった。

 

吹奏楽とオーケストラで、チューバの役割とか、気をつけることは違うのかな…。

私も、高校までは吹奏楽でチューバを吹いてきました。

大学で初めて、オーケストラでチューバを吹くことになったとき、求められる役割や譜面量などに違いがあり戸惑った覚えがあります。

 

そこで今回は、

「吹奏楽とオーケストラで、チューバの視点からはどんな違いがあるのか?」

について書こうと思います。

主体となる楽器の違い

吹奏楽は、文字通り吹いて演奏する管楽器が主体です。

一方、オーケストラは弦楽器が主体です。

 

吹奏楽では、音量や音の厚みを増すために、まったく同じ譜面を複数人で吹きます。

しかし、オーケストラの管楽器は一人1パートが原則です。

弦楽器が主体であり、管楽器は弦楽器のアンサンブルに彩りを加えるという役割が強いためです。

 

チューバも例外ではありません。

吹奏楽では、まったく同じ譜面を二本以上のチューバで吹くことも多いですが、オーケストラでは一部の曲を除いて一人です。

 

「一人で吹くなんて、他の人も頼れないし、ごまかせないし、嫌だなぁ…」と思うかもしれません。

ですが、言い換えれば、自分のパートを、自分の好きなように表現できます。

 

もちろん、好き勝手に吹いてよいというわけではありません。

コントラバスやバストロンボーン、ファゴットなど、ほかの低音楽器をよく聴いて、調和させる必要はあります。

 

しかし、吹奏楽のように、自分とまったく同じ譜面を吹いている人に対して、

  • 「出だしのタイミングが自分の思ってるのと違う…」
  • 「音程合わないなぁ…」

などといったことで悩む必要はなくなります。

チューバの役割や譜面量の違い

吹奏楽のチューバは、バンド全体を支えるメインの低音楽器として使われます。

ですので、チューバの出番がない吹奏楽曲はまずありません。

休符もそれほどなくて、一曲吹き通し、ということも多いのではないでしょうか。

 

一方、オーケストラの低音を支える役割はコントラバスに委ねられています。

チューバは、コントラバスだけでは出せない音色や輝かしさ、響きを補強するために加えられている、と考えるとよいでしょう。

 

言い換えると、作曲者が「チューバの音色は不要」と判断したオーケストラの曲には、チューバの譜面はありません

古典の曲では、作曲時にチューバという楽器が存在しなかったという経緯もあります。

 

また、出番があるといっても、曲の中のごく一部のこともあります。

有名なのは、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」ですね。

40分の曲の中でチューバの出番はたった9小節です(出番が一発しかないシンバルも有名)。

参考 テューバの豆知識|哀れすぎるテューバ?

この出番の少なさが、オーケストラでチューバを吹くことの最大のデメリットでしょう。

また、オーケストラで長い期間吹いてから吹奏楽に戻ると、

  • 譜面量が多く感じる
  • 自分一人(チューバだけ)で低音を支えなければならない場合がある
  • スタミナがもたない

といった弊害も出てきます。

 

しかし、逆に言えばオーケストラのチューバの譜面は、作曲家が「ここしかない」と思った部分にだけ厳選して書かれています(吹奏楽のチューバが適当に書かれている、ということではないですよ)。

「量より質が求められる」とも言えます。

 

そのため、オーケストラの譜面は、音楽的に重要な場面や、きれいなハーモニーなど、吹きごたえのあるものが多かったです。

また、譜面量が少ないので、出番があるところを集中して練習できます。

質を追求していくことで、演奏の腕前も相対的に上がりやすかったかな、と感じます。

 

なお、出番が少ないとはいっても、

  • チャイコフスキー
  • ショスタコーヴィチ
  • ラフマニノフ
  • マーラー
  • ブルックナー

などの作曲家は、チューバの譜面量が多い可能性が高いです。

一緒に演奏・練習する楽器の違い

吹奏楽では、チューバはユーフォニウムやコントラバスと一緒に練習することが多いです。

一方、オーケストラでは、チューバはトロンボーンと似た動きをすることが多いです。

ユーフォニウムはオーケストラに含まれませんし、コントラバスは弦楽器に組み込まれます。

 

個人的には、このトロンボーンとチューバが合わさったサウンドがたまらなく好きです。

【動画あり】オーケストラでのチューバとトロンボーンの響きは必聴
  • 美しいハーモニーを全音符で奏でたり
  • アクセントつきの八分音符一発で全体を引き締めたり
  • ff(フォルテッシモ)のユニゾンでメロディーを担当したり

役割もいろいろと変わります。

 

このサウンドを聴いて、実際に演奏できただけでも、オーケストラに入ってよかったなと思います。

 

また、大勢の弦楽器と一緒に演奏するのも、非常によい経験でした。

弦楽器は、管楽器とはまた違う、厚くて温かみのある響きをもっています。

それに溶け込めるように演奏しようとすることで、自分の響きも豊かになりました。

おわりに

オーケストラのチューバは、

  • 基本的に一曲に一人、自分とまったく同じ譜面を吹いている人はいない
  • 譜面量は少ないが、そのぶん吹きごたえがある
  • トロンボーンと一緒に、ハーモニーを担当することが多い

といった特徴があります。

 

このような意味で、職人的要素が強く、量より質が求められるといえます。

 

実際には、オーケストラではチューバがない曲もあるので、団員ではなくエキストラとして募集していることも多いです。

しかし、どのような形であれ、一度オーケストラで演奏してみると、いい経験になると思いますよ!