音楽的に演奏するための第一歩は「作曲者の意図を考える」こと

合奏で、顧問の先生から「楽譜はもう吹けてきたんだから、もっと音楽的に演奏しようよ」と言われた。

 

でも、「音楽的に演奏」ってどうしたらいいんだろう…?

「音楽的に演奏する」ってよく言われますが、実際のところ何をどうしたらうまくいくのかわかりにくいですよね。

ここでは、音楽的に演奏するための第一歩として、「作曲者の意図を考える」ことを提案します。

楽譜から作曲者の意図を読み取る

作曲者の意図は、楽譜に現れています。

 

たとえば、次のような視点で楽譜を見てみます。

  • なぜここにこんなアーティキュレーションがついているんだろう?
  • なぜここにクレッシェンド/デクレッシェンドを書いているんだろう?
  • なぜここにリタルダンド/アッチェレランドを書いているんだろう?

これらの記号を「わざわざ」書いているということは、作曲家も何らかの思いを込めていて、他の部分とは違うように演奏してほしいと思っているということ。

それを考えてみます。

 

スタッカートだから音の長さを半分にする」ではなく、

どれくらいの長さや軽さにしたらその曲にふさわしいんだろう?」

「たとえば弦楽器のピッチカートぽい感じかな?」

などと考えて、試してみる。

 

クレッシェンドだから音を大きくする」ではなく、

「どんな感じで大きくしたら、作曲者が表現したいであろう盛り上がりを一番よく表現できるんだろう」

単調に大きくするのがいいのか、それとも最後にぐわっと盛り上げるほうがいいのか」

などと考えて、試してみる。

 

フォルテだから大きく」ではなく、

「凶暴な感じなのか、元気な感じなのか、重厚感を出すのか」など、何を意図してフォルテを書いたか考えてみる。

「前がフォルテッシモだから、逆に少し落ち着いた感じを出す」

という場合もあるでしょう。

 

絶対的な正解があるものでもなく、奏者によって考えが違うのも当然です(よく「解釈の違い」と言われます)。

でも、このように見ていくことで曲にも思いが込めやすくなり、自分自身が何らかの「意図」をもちながら演奏できるようになりますよね。

それが「音楽的に演奏」することの第一歩ではないかと考えています。

 

慣れてくると、記号の書いていないところでも、また楽器の編成などからも作曲者の意図を推測することができます。

しかし、まずは記号を書いてあるところから始めるのがやりやすいと思います。

 

また、わかりにくい場合には、わざと記号を取って演奏してみるのもヒントになります。

「その状態では何かが足りなかったので、作曲者は記号を書き加えた」とみることができるからです。

プロの指揮者も作曲者の意図を考える

この「作曲者の意図を考える」という方法は、プロの指揮者の方から学びました。

 

大学のとき、プロの指揮者が客演で来てくださったのですが、しきりに、

「〇〇(作曲者)さんは、どういう意図でこの音符を書いたのか…」

とおっしゃっていたんですよね。

 

それを聞いて、

「なるほど、確かに作曲家の書いた曲を演奏しているのだから、その人が何を求めているかを知る必要があるな」

と思ったのでした。

 

もちろん、クラシック音楽の大抵の作曲家はすでに亡くなっているので、真相を知ることはできません。

でも、このように彼らの考えに思いを馳せることは大事だと思います。

楽譜とは作曲者の頭の中の音楽を記号化したもの

演奏していると忘れがちですが、本来は音楽が先にあって、楽譜はそれを記号化したものにすぎないんですね。

 

たとえば作家や小説家は、文章によって自分の頭の中の風景や心情を伝えようとしています。

作曲家も同じように、頭の中に「こういう音楽が鳴ってほしい」があって、それをできるだけ正確に楽譜に書き起こそうとしています。

 

でも、記号の都合上、「単調に盛り上がる」も「最後にぐわっと盛り上がる」も、同じ「クレッシェンド」と書かないといけない。

「凶暴さ」も「元気さ」も「優しく厚みのある感じ」も、同じ「フォルテ」と書かないといけないんですね。

 

だから、楽譜に書いてあることを再現するだけではなく、その裏にある「作曲者の頭の中にある音楽」を考えるのが大事なのだと思います。

おわりに

「音楽的に演奏」するための第一歩として、「作曲者の意図を考える」ことについて述べました。

 

「作曲者の意図とは別に、自分はこういう風に演奏したい」という強い思いがある方は、それに従って演奏するのがよいでしょう。

それこそが音楽の醍醐味だし、十分音楽的なことだと思います。

 

ただ、「音楽的にって、実際にどうやったらいいんだ…?」と戸惑っている方の参考になればと思い、本記事を書きました。

参考になれば幸いです。