先輩が引退して、自分がパートの最高学年になった。
後輩を教えなきゃいけないけど、後輩が吹いているのを聞いても何を言っていいかわからない。
指摘してみても演奏はほとんど変わらないし、教えるのって難しいな…。
そんな風に思っている先輩のあなた。
「後輩(人)の教え方」を教わる機会ってなかなかありませんよね。
教えていて困ったときには、相手の真似をしてみるとうまくいくことがあります。
教えるときには相手を真似してみる
「何が問題かわからない」とき
「後輩の演奏に何か違和感があるんだけど、何が問題かわからない」というとき。
後輩の演奏をできるだけ忠実に真似してみましょう。
ふだんの自分の演奏と比べて、何か変わったところはないでしょうか?
たとえば、相手の演奏を真似してみたら、
- 自分の息のスピードが速くなったな
- なんだかセカセカ吹かなきゃいけない感じがして焦るな
- けっこう強めにタンギングしないといけないな
などなど。
そこにヒントが隠れている可能性があります。
上の場合なら、それぞれ、
- 息のスピードが速いかも
- ちょっと焦ってるかも、一緒に指揮振りながら歌ってみようか
- タンギング、もう少し弱くなめらかにしてもいいかも
などと伝えてみるのがいいでしょうかね。
もちろん、正解は一つではないし、人によって効果のあるアドバイスも違ってきます。
ですがいずれにせよ、「相手の演奏を真似してみたときに自分が変わる部分」は、教えるうえで重要なポイントだと思います。
「よくする方法がわからない」とき
演奏の問題点はわかる。
でも、それをよくする方法がわからない。
そんな場合もありますね。
「リズムが微妙」
「音程が悪い」
とだけ伝えて、後輩がよくなってくれればいいけど、実際にはそんなうまい話もなく…。
言われた側も、「悪いのはわかってるけど、どうしたらいいんだよ…」と嫌な気分になってしまいます。
真似してみることは、このような「よくする方法がわからない」にも効果があります。
気になっているポイントに着目しながら、相手の演奏を真似してみる。
そのときに自分が変わった点を伝えてみると、うまくいくかもしれません。
ここで重要なのが、真似するときに変える点が一つだけとは限らないことです。
たとえば、「音程が悪い」と言っても、
- 抜き差し管の調整
- 替え指
- 息の速さや太さ
- 口の中の容積
- 頭で思い描いている音程
…などなど、いろいろな要素で音程は変わります。
たとえば、自分は息の速さを変えたら音程が真似できたので、「息をゆっくりにしてみよう」と伝えてみた。
でも実際には、後輩の頭の中で音程がとれていないのが原因だった。
などということもあるでしょう。
慣れもあるので、一発で適切なアドバイスができるとは限らないことは頭に入れておいたほうがよいです。
ただ、少なくとも、
「リズム正しく」
「音程合わせて」
などと指摘だけするよりは、建設的な練習になるはずです。
楽器の練習において真似することは大切
楽器を教わるときには、先生や先輩など、自分よりうまいと思う人の真似をするでしょう。
逆に自分が教える立場になっても、真似をしてみることはとても大切です。
演奏を真似するためには、
- 自分と相手の違いを捉える
- その違いが何によるものかを考える
- それをふまえて実際に吹いてみる
ことが必要です。
なので、自分が教わるときだけではなく教えるときにもやってみると、後輩の上達が早まるかもしれません。
おわりに
最後に念のため。
後輩の真似をするのは、できていないことを誇張したりバカにしたりするためではないのでご注意くださいね。
あくまで、「自分と何が違うのかな?」を捉えるためにやります。
はじめは難しいかもしれません。
しかし、コツをつかんでくると後輩の上達も感じられて楽しいし、尊敬の眼差しを集められますよ。
ぜひ、「相手の真似」をしてみてくださいね。