アンサンブルコンテストに向けて、アンサンブルの練習をすることになった。
でも、アンサンブルの経験がほとんどないし、自分たちだけで練習を進めなきゃいけないのが不安…。
アンサンブルの練習ってどうやったらいいの?
そんな疑問にお答えします。
私は大学時代、所属団体で金管アンサンブルを年に十数曲は演奏してきました。
その中でいろいろな練習方法を教えてもらったり、自分で試行錯誤したりしたので、きっと参考になるかと思います。
目次
アンサンブル初心者にオススメ「主役交代練習」
ここでは、メンバー全員が譜読みをして、譜面が吹けるようになっている状態を想定しています。
後でも述べますが、アンサンブルは合奏に比べて一人一人の重要度がより高いです。
譜面がある程度吹けるようになるまでは、個人練習に力を入れるのがよいでしょう。
練習箇所を決める
まず、曲の中で練習する箇所を決めます。
練習番号一つ分くらいがよいです。
主役を一人決める
メンバーの中で「主役」を一人決めます。
この「主役」とは、メロディーパートとかそういうことではなく、練習上の役割です。
全員分回るので、どの人からでもかまいません。
主役が主導して演奏する
「主役」の人が、出だしの合図(ザッツ)を出して、練習箇所を演奏します。
他の人は、常にその「主役」の演奏を聴きながら、少し弱めに(主役をかき消してしまわないように)自分の譜面を一緒に演奏します。
楽器での演奏にまだ慣れていなければ、指揮を振りながら声で歌ってみてもかまいません。
「主役」の人が気をつけることは、
- テンポや音量はどれくらいにしたいのか?
- どういう風に演奏したいのか?
などを考えて、できるかぎり他のメンバーにもそれがわかるように演奏しようとすること。
それ以外の人は、メンバー全員の演奏を一度に聴けなくてもいいので、「主役の人と自分はどういう関係か」に集中しながら演奏します。
ここでの「関係」は、次のうちどの役割に当てはまるかを考えるとよいです。
- メロディー
- メロディーのハモリ
- 裏メロ(対旋律)
- 裏打ち
- 低音
- その他
たとえば、
「今主役をやった〇〇さんはメロディーで、自分はそのハモリだ」
とか、
「今主役をやった△△さんは裏打ちで、低音をやっている自分と交互にリズムを刻んでいる」
といった感じです。
主役を交代して、全員が主役を経験する
「主役」をメンバー全員で交代して、一周ずつ回します。
つまり、五重奏なら5回、八重奏なら8回演奏するということですね。
それぞれの人がどういうことをやっていて、自分のパートとどういう関係なのか、を把握します。
スコアを確認する
全員がどういうことをやっているか確認できたら、その練習箇所のスコアを見ます。
おそらく、演奏せずにいきなりスコアを読むよりも、誰がどういうことをやっているかが理解しやすいかと思います。
必要であれば、この段階で改めて、「誰がメロディーで誰が裏メロ、誰が伴奏」といったことをメンバー間で共有してもいいでしょう。
全員で演奏する
改めて、メンバー全員で演奏してみます(指揮と歌でもOK)。
基本的には、全員でメロディーを聴きながら、メロディーが一番よく聴こえるように演奏します。
でも、メロディー以外の人は遠慮したり引っ込んだりする必要はなく、「主役」だったときと同じくらいの積極性で演奏してかまいません。
また、余裕があれば、メロディー以外のパートの関係性(裏打ちと低音、裏メロと伴奏など)にも意識を向けられるとなおよいです。
「メロディーや他のパートを聴きつつも、自分も積極的に演奏する」ことができるようになってくると、演奏もぐっとよくなってくるでしょう。
以上の6ステップを、曲全体を通してやります。
はじめは面倒くさいと思います。
しかし、「誰がどういうことをやっているか」を一度把握しておくと、その後の練習がやりやすくなり、結果として時間の短縮につながるでしょう。
また、慣れてくれば、スコアを読むだけで誰が何をやっているかがわかるようになるでしょう。
主役を交代しながら演奏しなくてもよくなるはずです。
ただ、アンサンブルに慣れていないうちは、「人の演奏を聴きながら演奏する」ことに慣れるためにも、この「主役交代練習」は有効だと思います。
アンサンブルは個人の重要度が大きい
この「主役交代練習」は、個人がある程度楽譜を吹けるようになってからやったほうがいいです。
アンサンブルは合奏など大人数での演奏に比べて、一人一人の重要度が大きいです。
たとえば、合奏では吹ける人にフォローしてもらうことができますが(それがいいかどうかは別として…)、アンサンブルではなかなか難しかったりします。
速い指回しなど、できるまでに時間がかかるところはある程度仕方ないでしょう。
しかし、曲全体を通じて演奏するのに精一杯、という状態では、周りもあまり聴けないため、「主役交代練習」で期待される効果が出にくいと思います。
個人練習で、焦らずじっくりさらいましょう。
おわりに
「周りを聴きながら積極的に演奏する」ことができるようになるための一つの方法として、「主役交代練習」を紹介しました。
ぜひお試しくださいね!