楽器がもっとうまくなりたい。
プロのレッスンを受けてみたらいいんだろうけど、怖い先生に怒られたら嫌だなぁ。
そもそも、私なんてまだレッスンを受けるレベルじゃないし…。
自分が演奏する楽器についてプロのレッスンを受けようと思っても、初めてでは勝手もわからないですよね。
「自分のレベルでプロの演奏家のレッスンを受けていいのかな?」と躊躇してしまう人も多いかもしれません。
ここでは、私がプロのチューバ奏者のレッスンを初めて受けたときのことを振り返ってみます。
レッスンを受けてみようかなと考えている方の参考になれば幸いです。
目次
どんなレベルの人でもプロのレッスンを受けていい
まず前提として、どんなレベルの人でもプロのレッスンを受けてかまいません。
楽器が完璧に吹けないからこそ、上達するためにレッスンを活用するのです。
プロの奏者でも、ときどき自分の先生に習いにいくくらいですから。
初心者なら、変な吹き方の癖がつかないように、基本的な練習方法を教わることができます。
楽器を始めて数年経った人は、より上手く、より音楽的に演奏できるようになるためのポイントを習得できます。
音大生やその受験生でなくても、それぞれのレベルに合ったレッスンの活用法があります。
できなさすぎて恥ずかしいという方もいるでしょう。
しかし、たいていの先生は、相手のレベルに合わせて内容や教え方を調整してくださいます。
それは教える側の責任ですから、ぜひ安心して受けてみてください。
後でも書きますが、このあたりの価値観が合わないと感じるならば、先生を変えてもかまわないと私は考えています(もちろん、その際には失礼のないように対応しましょう)。
先生とのコンタクトのとり方
プロの奏者とどのようにしてコンタクトをとったらよいのでしょうか。
私は、大学3年生のときに、所属していた楽団の音楽トレーナーに相談し、自分に合いそうな先生を紹介していただきました。
自分一人でやっていても成長に限界があると感じたためです。
パートリーダーの立場になったことも理由としてあります。
このように、もし音楽に詳しい方が身近にいれば、相談してみるのがよいでしょう。
また、最近ではホームページやSNSアカウントをもつ音楽家の方も増えています。
お問い合わせフォームやメッセージを利用してコンタクトをとってみる方法もあります。
はじめて連絡をとる際には
- 自分の名前
- 住んでいるところ(練習場所を決めるため)
- 楽器の経験年数
- 今悩んでいること、レッスンを受けたいと思った理由
- 希望日時(複数候補)
などを伝えましょう。
また、
- レッスンの謝礼の金額
- 謝礼の支払い方法(手渡し or 事前決済)
- スタジオなどの場所代
についても、その後のやりとりの中で確認しておきます。
どんな先生を選べばよいか
もし、自分で先生を選んでコンタクトをとる場合、どんな先生を選べばよいのでしょうか。
私は、実際に演奏を聴いて、
「この人の音が好きだな」
「こんな風に吹けたらいいな」
と思う奏者を選ぶのがベストだと思います。
レッスンでもっとも大事なのは、プロ奏者の音や演奏、音楽に対する考え方を実際に間近で体感できることです。
音を何度も聴くことで、自分が演奏するときのお手本の一つになります。
もちろん先生との相性なども大事ですが、それは一度お会いしてレッスンを受けてみなければわかりません。
ですから、まずは「この人の音に近づきたいな」ということを基準にして、奏者を選ぶのがよいでしょう。
また、現実的な問題として、レッスンに通える距離にあるかということもポイントとなるでしょう。
遠方まで出向くこともありますが、ふつうは無理なく通える範囲で先生を探すことが多いかと思います。
都市圏ならば候補となる先生がたくさんいらっしゃるでしょうし、地方では先生の数も限られてしまうかもしれません。
私が受けた初めてのレッスンの内容
ロングトーン
私が初めてレッスンを受けたときは、少し雑談をしてから、手始めにロングトーンをやりました。
4拍で、間にブレスをはさみながら半音ずつ上下していくというシンプルなものでした。
音出しの段階で、音量や響きが自分の音とは段違いだなと感じました。
さらに、先生と自分とで交互にロングトーンをやったので、音の違いがさらに顕著にわかりました。
この体験をできただけでも、レッスンを受けた価値はあったと思います。
ロングトーンを通じて教わったことは、主に次の3点です。
- ブレスの前に肺が空になるまで吐いて、ブレスで満タンまで吸おう。毎日やって、容量を少しずつ増やしていこう。
- 4拍伸ばすことは必ずしも大事ではない。音を伸ばそうとするあまり、音質を犠牲にしないようにしよう。
- 君(私)が吹く前に僕(先生)が吹いているので、その音を真似してみよう。一人で練習するときも同じように、理想とする音を常に思い浮かべながら吹いてみよう。
これらのことは、今でも自分が練習するときのベースとなっています。
ちなみに、その後数回のレッスンもすべてロングトーンのみで終わりました。
息の使い方や音質は、それだけ時間を使うに値する重要な基礎だということを、改めて認識しました。
ペダルトーン
下のCから上のCまでのロングトーンが終わると、より低い音域のロングトーンになりました(楽器はC管です)。
はじめは「下のFくらいまでかな?」と思っていたのですが、それよりもさらに低いペダルのCまでいきました。
当時は、低いEより下の音の指づかいを知らなかったので、まずは教えていただきました。
しかし、吹いたことがなかったので当然ほとんど音は出ませんし、4拍も伸ばせませんでした。
「ここまで低い音を日常的に練習するのだな…」ということがカルチャーショックでした。
しかし、こうやって問題なく使える音域を日々広げていくことで、曲中でよく出てくる音(たとえば低いFやGなど)を余裕をもって吹けるようになります。
その日以降、ペダルトーンばかり練習するようになったのは言うまでもありません(笑)。
レッスンの先生は厳しく怖いのか?
私が受けたレッスンの先生ですが、まったく怖い印象はなく、気さくにレッスンを進めてくださいました。
楽しみながらも毎回のレッスンで確実に上達が感じられ、とても良い経験になりました。
どの程度厳しいレッスンを希望するかは、人によって違うでしょう。
それも、レッスンの早い段階で先生に相談してみましょう。
「演奏に妥協しない」という意味での厳しさは必要不可欠ですが、必ずしも態度を厳しく・高圧的にする必要はないと私は考えます。
また、練習もして真面目にレッスンを受けているのに、
「なんでそんなこともできないんだ!」
「これだけ練習してきてそのレベル?」
などの言葉を万一かけられることがあり、それで音楽が楽しめなくなるのであれば、その先生のレッスンを受けるのをやめてもよいと思います。
怖くてもいいからとにかく上達したい、というのであればかまいませんし、プロを目指すレッスンであれば致し方ない面もあるでしょう。
しかし、そのようなレッスンを希望していないならば、自分が楽しみながら上手くなっていくことを最優先しましょう。
おわりに
「上手くなりたい」という思いと、必要最低限の財力・時間があれば、誰でもプロのレッスンを受けてかまいません。
私も、レッスンを受けようと決まるまでは悩みましたし、初めて行くときにはとても緊張していました。
しかし、受けてみたことで自分の音も変わり、一つのお手本を自分の中にもつことができました。
今では、レッスンを受けて良かったと思います。