トランペットを吹いていて、よく高い音を外す。
顧問の先生にもよく「音を外すな!」と怒られる。
音を外さないように、ミスのないように練習しないと…。
吹いて、間違えたらそこからやり直して練習して…。
「音を外すな」
「音(リズム)を間違えるな」
これらは、吹奏楽部などでもっともよく言われる注意の一つでしょう。
ですが、これらは「ミスしなければよりよいね」程度のもの。
本当に大切なことは、「ミスしても音楽の流れに復帰できること」だと思うのです。
「音楽は時間の芸術」
「音楽は時間の芸術」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
「絵や文章は、作品そのものが形として残る。
でも音楽は、一度出した音がすぐに消えてしまい、その場に残ることがない」
とか、
「はじめに出てきた主題が時間とともに変化・発展していって、1つの曲が作られる」
といった意味です(いろいろな解釈はあると思います)。
この言葉からもわかるように、音楽は常に時間とともに進んでいく、「流れ」をもったものです。
ミスに動揺して頭が真っ白になり、その後どこで入っていいかわからなくなってしまう。
リズムを間違えて、その後全体と1拍ずれたまま音楽を進めてしまう。
こんなケースは、「音楽の流れ」から外れて、その後に復帰できなくなってしまっていると見ることができます。
これは、単に音を間違えるだけの場合と比べて影響も大きいですし、できれば避けたいところ。
だから、日頃より「音楽の流れ」を意識しながら練習・演奏することが大切です。
音楽の流れの中で演奏するための3つのポイント
周りを聴きながら演奏する
普段の練習では、つい
- 自分の演奏
- 自分の譜面
- 指揮者
にしか意識がいかなくなりがちです。
しかし、自分が演奏する前に他の人が流れを作ってくれているはずですし、自分が演奏し終わって休んでいるときも音楽は流れています。
曲の流れを理解し、すぐに戻れるように、周りの演奏を聞く癖を日々の練習からつけておきましょう。
細部のミスに捉われすぎない
ミスしないように注意して演奏すると、ミスはなくなるかもしれませんが、音楽が死にます。
また、それだけ気をつけたにもかかわらずミスした場合、動揺して演奏により大きな影響を与えることもあるかもしれません。
外したくて音を外している人はいないし、わざと間違えた演奏をしている人もいないでしょう。
ミスはどれも、(現在の実力では)やむを得ずなってしまうものだと思います。
細かいミスはそれくらいのものと割り切る。
それよりも、フレーズ全体の流れとか、「どういう風に演奏したいか」を意識するほうが、結果として良い演奏になると思います。
一曲通して練習する
冒頭で述べたように、間違えたらそこで止めて吹き直す、という練習をしている人が多いです。
しかし、本番の演奏では、間違えても止めてやり直すことはできません。
そのことを意図して、あえて間違えても曲を最後まで吹き切る、という通し練習をたまにはやってみることも効果的です。
おわりに
吹奏楽などをやっていると、演奏のミスを指摘されることも多いです。
しかし、実際には「ミスしない」ことではなく、「ミスしてもちゃんと復帰できる」ことがすごく大切だと思います。
このことを意識して、普段から曲全体の流れを聞いたり、通して演奏する練習をしたりするとよいですね。