先輩が引退し、自分が練習を仕切ることになった。
でも、いざ練習を仕切ってみると、後輩に対して「なんでできないんだろう?」って思うことが多すぎ!
私が普通に演奏できる簡単なフレーズも吹けないし、音程も悪いし…。
一体どうしたらいいんだろう?
多くの学校で吹奏楽コンクールが終わった今、よく起こる悩みでしょう。
でも、その「なぜできない?」をそのまま後輩に伝えてしまうと…
あまり良い結果にはならないのではと思います。
そんなときは、「なぜできない?」を、
- 「なにが原因でできない?」
- 「どうやったらうまくいく?」
に変換してみましょう。
この考え方は、最近読んだ「いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング」という本に書かれており、とても参考になりました。
そこで、本の内容の一部も引用しながら、人を教えるときに大切な考え方を説明していきます。
「なぜできない?」→「なにが原因でできない?」
「なぜできないんだ」「なぜ失敗したんだ」などのように、「なぜ」と否定的な内容を組み合わせるのは、基本的に避けるべきなのです。
出典:いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング p. 22
うまくいかない原因を知りたいと思って「なぜ」と尋ねても、相手は責められているように感じてしまいます。
「なぜ~したのか」は、その人自身の行動や考えに対する問いかけ。
だから、特に否定的な内容で「なぜ」と問いかけられると、行動や考え方を否定されているように感じてしまうんです。
「『なぜ』を『なに』に置き換えてみましょう。『なぜあそこで勝負したんだ?』の『なぜ』を『なに』に置き換えると、どんな言い方になりますか?」
「『あそこで勝負したのは、なにが理由なんだ?』でしょうか」
いい形になりました。
出典:いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング p. 23
そこで、「なにが原因で」と問い方を変えてみましょう。
- 「このフレーズ、なにが原因でうまく吹けないんだろう?」
- 「なにが原因で音程が合わないと思う?」
こうすることで、考える対象が原因や理由などの「ことがら」に移ります。
一つ目の質問は、「このフレーズ、どこが難しいと感じる?」でもよいと思います。
これにより、相手は問題を自分自身から離して考えることができるので、責められている印象が減ります。
また、相手に問いかけずに自分の中で考えるときも、「後輩はなにが原因でできていないんだろう?」とすると考えるポイントが絞られて効率よくなります。
「なぜできない?」→「どうやったらうまくいく?」
このように、できていないことを指摘して「あとは自分で考えろ!」と突き放してしまうのは、よくありがちな光景です。
しかし、これは決して良いやり方とは言えません。
なぜなら、このように言ってしまうと、選手としては「できなかった自分」のことばかりを考えてしまうからです。
出典:いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング p. 62
「なぜできない」というのは、「できていない自分」に意識が向いている言葉ですよね。
しかし、みなさんも経験があると思いますが、「いや~、なんかうまくいかなさそうだな…」と思いながらチャレンジしたことって、たいていうまくいかなくないですか?
(もちろん、持ち前の実力で成功させてしまう人もいると思いますが)
一流のスポーツ選手は必ず「うまくプレーできる自分」をイメージするイメージトレーニングを大切にしています。
それはなぜかと言うと、人が行動するときには、どんな場合でもイメージが先行しているからです。
(中略)
なにかをうまく行動できるようにするためには、「できている自分」のイメージを思い浮かべることが大切です。
出典:いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング p. 65
ですから、うまくいくようにするためには「うまくいっているイメージ」が大切。
そのために、「どうやったらうまくいくか」を考えることは有効です。
先に考えた「なにが原因か」をふまえるとよいですね。
後輩に問いかけて考えさせてもいいですし、自分の中で「後輩はどうやったらうまくいくんだろう?」と考えて、浮かんできたアイデアを試してみるのもいいでしょう。
後輩の中にそもそもうまくいっているイメージがない可能性もあります。
そんなときは、音源などを聴いたり、可能なら先輩自身がお手本を見せたりして、「こんな風にできればいいんだな」というイメージを固めてあげるのも有効です。
「できるようになる」前提で後輩に接する
ここでのポイントは、「できるようになる」前提で後輩に接すること。
「なぜできないんだろう」という考えは、「この後輩はできない」というイメージが前提にあります。
教える側もイライラしてしまい、接し方もきつくなる。
すると、後輩はあなたを怖がったり嫌いになったりして、アドバイスがより受け入れられにくくなる…という悪循環です。
対して、「なにが原因で」「どうしたらうまくいく」というのは、後輩が「できるようになる」という前提にあります。
「できない」という前提で接するよりも教える側は精神的に楽ですし、そのほうが結果としてできるようになる可能性も高まるでしょう。
おわりに
吹奏楽部に限らず、人に教えるときに大切な考え方を紹介しました。
「なにが原因か」と「どうやったらうまくいくか」、頭の片隅に置いておけるとよいですね。
また、
こちらの本にはこれ以外にも、教えるときに役立つ考え方がたくさん紹介されています。
参考になれば幸いです。